(声明)裁判迅速化法案に対する声明
2003/3/28
裁判迅速化法案に対する声明
2003年3月28日
日本労働弁護団
幹事長 鴨 田 哲 郎
1 政府は、裁判迅速化法案を今国会に上程した。同法案は裁判を2年以内に終わらせることを目指し、裁判の当事者にも一定の責務を負わせるものである。
2 民事裁判は、権利関係の帰属や法律行為の有効性について、国家が最終判断を下すものであって、迅速性とともに公正が求められるものであり、迅速性の要請も公正の確保を不可欠の前提とするものである。公正の追及、そのための裁判手続の適正・充実をないがしろにした迅速化は拙速な裁判に堕する危険を有し、国民の納得や信頼を失いかねない。
ことに労働関係における民事裁判においては、実定法が十分に整備されていないことやその判断基準が「合理性」、「正当性」など抽象的にならざるをえないことによって、詳細な間接事実や周辺事情をも含めなければ適正な判断がなしえず、さらに、関係証拠の大半が一方当事者である使用者の手元に存し、これを開示させなければ公正な判断はなしえないという客観的な状況の下にある。
3 労働関係の民事裁判は、労働者の日々の生活それ自体を左右するという重大な結果を招くものである点に十分に留意されなければならない。公正かつ迅速な裁判は、上記の点についての抜本的な対策が採られて初めて実現可能なのであり、この対策のないままでの迅速化は、その不利益を専ら労働者側にもたらすことになる。
4 当弁護団は、一般民事裁判はもとより、とりわけ労働裁判において、労働者・労働組合の権利が公正かつ迅速に実現されるよう、本法案が迅速化と合わせて公正が必要不可欠なものであるとするものに修正されることを強く求めるものである。
以 上