安倍政権の雇用破壊に反対する決議
2013/10/16
安倍政権の雇用破壊に反対する決議
安倍政権は、アベノミクスの「成長戦略」の一環として、産業競争力会議や規制改革会議等の諸会議で雇用規制緩和の議論を急速に進め、本年6月14日、これを取りまとめて「日本再興戦略」「規制改革実施計画」を閣議決定した。そして、本年秋から規制改革会議等で引き続き雇用規制緩和を議論するとともに、法改正等に向けて労政審や有識者懇談会で議論を開始している。
その内容は、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」として、労働者派遣制度の見直し、「多様な正社員」モデルの普及・促進、民間人材ビジネスの活用、労働時間法制の見直し等が列挙されている。
しかしながら、労働者派遣制度の見直しは、常用代替防止原則を取り払い間接雇用の拡大を招き、企業に恣意的な労働力利用を認め、労働者の地位を大きく不安定化・劣化させるものである。また、「多様な正社員」は、「無限定正社員」からの労働条件の切り下げを行い、職務が無くなれば解雇を容易化しようとするもので、我が国判例上確立している解雇権濫用法理(特に整理解雇四要件)を骨抜きにするものである。そして、民間人材ビジネスの活用は、雇用流動化によって市場に投げ出された大量の失業者をビジネスの対象とし、労働時間法制の見直しは労働者の健康な生活を破壊するだけである。
更に、産業競争力会議の国家戦略特区ワーキンググループは、「特区」に指定された地域の雇用制度上の特例措置として、労契法16条の適用除外(ガイドラインに適合する契約条項に基づく解雇は有効)、労基法41条の適用除外の追加(ホワイトカラーエグゼンプションの導入)、有期雇用の無期転換申込権の事前放棄をも導入しようとしているが、これらは労働者の生存権(憲法25条)や勤労権(憲法27条)を脅かし法の下の平等(憲法14条)に違反するものと言わなければならない。
政府が検討する雇用流動化のための全面的雇用規制緩和がもたらすものは、企業のリストラ免罪による大量の失業者の発生であり、これにより労働者がものも言えなくなる労使の非対等性の促進であり、労働条件と環境の劣化である。
今我が国に必要なのは、不安定雇用や過酷な長時間労働、過労死・過労自殺の撲滅・是正のための労働立法、ブラック企業のような労基法無視の使用者の撲滅のための労働行政、労働者の権利と労働法を我が国社会に浸透させるためのワークルール教育の推進である。
我々は、安倍政権による雇用ルールの破壊に断固として反対し、労働者の権利と暮らしの安定・向上のために、ともに力を合わせて闘うことをここに決意するものである。
「労働者派遣の規制緩和と『ブラック企業特区』に反対する集会」参加者一同
2013年10月16日