職員基本条例案に反対し、否決・廃案を求める決議

2011/11/12

 橋下徹・大阪府知事が代表を務める大阪維新の会は、2011年9月21日、大阪府議会に、「職員基本条例案」(以下、「条例案」という。)を提出した。同条例案は、①幹部職員(準特別職)の公募制・任期制、②いわゆる成果主義人事評価の徹底、③条例による懲戒・分限処分の基準と公開の基準の制定、④給与水準の切り下げ、⑤組織改廃や民営化等による分限免職の手順等の制定などを定めるものである。しかし、これら全ての条項は、憲法、地方公務員法に違反し、公務員の労働者の権利を侵害する違憲、違法な条例案にほかならない。このような条例を制定することは、到底許されないものである。
 地方公務員法は、分限・懲戒に関して「公正の原則」を定めい、懲戒・分限について懲戒・分限事由を限定列挙して職員の身分保障を図り、これに該当する事由がある場合でも、任命権者の裁量に委ねている。ところが、同条例案では、議会が懲戒・分限処分の基準を決め、これを機械的に当てはめて処分が発令されることとなり、実質的には任命権者に代わって処分を行うもので、任命権者の裁量権を否定するものとなっている。
 特に、特に免職については、条例案では、5回の職務命令違反又は同一の職務命令に3回違反すれば直ちに免職とすると定める。また、職員の全員の人事評価を行い、5%の職員を最下位の評価として、この最低評価Dを2年連続受けた職員を分限免職の対象とするとしている。さらに、条例案は、組織改廃により、配職・過員が生じたときには、職員のる分限免職を行うとしており、免職を著しく緩和している。これらは地方公務員法の定める公正の原則、職員の身分保障に著しく反するものである。
 このような条例案は、橋下徹大阪府知事が自らの政策を推進するために、職員に対して、一方的な人事評価と懲戒・免職処分により恫喝し、専制的な職員支配を行おうとするものである。いわば「恐怖の人事管理」体制を構築しようとするものである。
 地方公務員法の精神は、地方自治の本旨(憲法92条)に基づき、公務員を全体の奉仕者(憲法15条2項)、公務員の勤労者としての権利(憲法27条)を尊重し、公務員の政治的中立性を確保する近代的・民主的な公務員制度を確保するものである。ところが、同条例案は、職員を「住民全体の奉仕者」ではなく、知事等の「一部の政治家の奉仕者」に変質するものにほかならない。
 このような大阪府の職員基本条例は、地方公務員法に反し、憲法にも違反するというべきであり、直ちに否決し廃案とすることを強く求める。
                                                                     2011年11月12日
                                                                          日本労働弁護団第55回全国総会