(アピール)労基法・派遣法の一部改正について

2003/7/9

労基法・派遣法の一部改正について

2003.6.27    

日本労働弁護団             

会長 弁護士 宮里 邦雄

 

1. 派遣法の改正に引き続き、労基法の一部改正法案は本日参議院で可決成立した。
 
我々は、労働政策審議会での審議の段階から今日まで、節々において、問題点を指摘し、あるべき法改正について見解を表明してきた。
 
成立した法律の内容は、解雇ルールの立法化については評価できるものの、有期雇用、企画業務型裁量労働制、派遣労働については、現行法の規制を緩め、労働者保護を後退させるものとして、強く抗議する。

2. しかしながら、連合・全労連・全労協をはじめとする労働団体や、多くの労働組合・労働者の闘い、民主党をは 
じめとする野党の努力によって、政府案にあった「解雇できる」条項が削除されたこと、上限三年有期について退職の自由を保障する条項が設けられたことなどの重要な修正が実現したことは、大きな成果である。
 
解雇の新設規定は、解雇理由について主張・立証責任は使用者が負うものとする確立した裁判実務を変更するものでない旨の立法者意思が、衆参の付帯決議で表明されており、法制定を踏まえて、今後の裁判実務において、この点の定着化を図る努力を強めていきたい。
 
判例法理が立法に結実した重要な意義を確認し、今後不当な解雇を許さない闘いを更に進めることを表明する。

3. 今次改正については、不当な法運用がなされないよう監視を強めるとともに、政省令の制定等にあたり、適切な歯止めが盛り込まれるよう要求していく。また、今回の改正では見送られた有期契約の規制をはじめ、我々が年来求めてきた労働契約法の制定などの問題について、引き続き取り組む決意である。

以 上