「賃金等請求権の消滅時効及び有給休暇の取得促進に関する意見書」を発表しました
2018/7/9
賃金等請求権の消滅時効及び有給休暇の取得促進に関する意見書
2018年7月9日
日本労働弁護団
会長 徳住堅治
第1 賃金等請求権の消滅時効について
1 消滅時効に関する改正民法の内容
2020年4月1日に施行される改正民法においては、債権の消滅時効について、現行民法では権利を行使することができる時から10年と規定されているものを、権利を行使することができることを知ったときから5年間(主観的消滅時効)、権利を行使することができる時から10年(客観的消滅時効)と規定されることとなった。
併せて、現行170条以下の短期消滅時効は廃止されることとなった。
2 労働基準法115条の規定及びその趣旨
一方、現行の労働基準法115条は、「この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」と定めている。
これは、現行民法174条1号において「月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料に係る債権」の消滅時効が1年とされていたところ、賃金等の労働債権が1年という短期間で時効となることは労働者に酷であることから、労働者保護の観点より、民法の特則として時効期間を延長した点にその趣旨がある。
3 賃金等請求権の消滅時効は改正民法の規定に合わせるべきである
現行の労基法115条が定める賃金等請求権の消滅時効については、主観的消滅時効を5年間、客観的消滅時効を10年間とする改正民法に合わせて必要な法改正をすべきである。理由は以下のとおりである。
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