11/12 真に実効性のあるパワハラ指針の策定を求める集会アピール

2019/11/13

約1週間前の告知というかなりの緊急集会にもかかわらず約130名の方々にご参加いただきました!
お忙しい中、会場にお越しいただいた皆様、厚くお礼申し上げます。

様々な立場から指針案の問題点を指摘いただいた上、ハラスメント根絶のための強い決意を語っていただきました。
詳細は、こちらの一連のツイートをぜひご覧ください!(拡散にもご協力いただけますと幸いです)

真に実効性のあるパワハラ指針の策定を求める集会
集会アピール

 今年の5月、労働施策総合推進法が改正され、事業主にパワーハラスメント防止のための措置義務が定められました。現在、労働政策審議会において、事業主の雇用管理上講ずべき措置義務の内容について定める指針の策定が議論されていますが、10月21日に厚生労働省事務局が示した素案は、パワーハラスメント防止に全く役立たないばかりか、パワハラを助長しかねない内容となっています。

 まずパワーハラスメントについて、法の趣旨を軽視し、法律の文言を狭く解釈しています。例えば、「優越的な関係を背景とした言動」の「優越的」の意味を、「抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係」とことさら狭く説明しています。職務上の地位や人間関係、専門知識など何らかの事由で優位性が認められれば十分であって、それを背景としたハラスメントは防止される必要があります。また、「職場」の意義についても、「業務を遂行する場所」と狭く説明しています。懇親会の場などにおいてもハラスメントが行われているのは周知のことであり、これらのハラスメントも防止される必要があります。素案は、防止すべきパワーハラスメントの範囲を不当に狭めています。

 パワーハラスメントに該当すると考えられる例の内容に不適切なものがあります。例えば、「怪我をしかねない物を投げつけること」という例は、まるで怪我をしない物であれば投げてもよいかのようです。そして、強調したいのは、該当しないと考えられる例が示されていることの不適切さです。ハラスメントを防止するための対策として、ハラスメントに該当しない例を示す必要性は全くありません。してはならない行為を明示すればそれで十分なはずです。該当しない例を示すことは、加害者の言い訳を正当化しかねません。ハラスメントの防止に有害な記載です。

 国会の附帯決議も軽視されています。素案には、国会から求められた「労働者の主観」への配慮、取引先や顧客等の第三者から受けるハラスメント、及び、取引先や就職活動中の学生、フリーランス等の社外の者に対するハラスメントへの配慮、性的指向・性自認に関するハラスメント及びアウティングへの措置について、不十分な対策しか示されていません。

 事業主が講ずべき雇用管理上の措置についても、迎合的言動等、被害者の心理状態に関する確立した知見等が反映されていないなどの問題があります。

 我々集会参加者は、パワーハラスメントをなくすという法の趣旨を全うし、あらゆるハラスメントを根絶できる実効性ある指針とするため、素案を抜本的に修正することを求めます。

2019年11月12日
集会参加者一同