職場のいじめ・嫌がらせに対する立法を求める意見書を発表しました

2018/8/9

日本労働弁護団ではこの度、厚生労働省のパワハラ防止対策検討会の報告を受け、「職場のいじめ・嫌がらせに対する立法を求める意見書」を発表しました。

本年3月6日にも職場のいじめ・嫌がらせ防止法の立法提言」(第1次試案)を発表しています。こちらと併せて是非お読み下さい。

職場のいじめ・嫌がらせに対する立法を求める意見書
~厚労省パワハラ防止対策検討会の報告を受けて

2018年8月9日
日本労働弁護団
会長 徳住堅治

 
1 はじめに

 職場のいじめ・嫌がらせに関する労働相談件数は年々増加し、これを理由とする精神障害の労災認定件数も増加するなど、職場のいじめ・嫌がらせの問題は深刻な社会問題となっている。
 ところが、職場のいじめ・嫌がらせについては、2012年1月に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」報告書が取りまとめられたものの、未だ何らの立法も存在しない。
 そのような中、2017年5月に設置された厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」(以下「検討会」という)は、10回にわたる議論を経て、2018年3月に報告書を発表した。
 日本労働弁護団は、2018年3月6日に「職場のいじめ・嫌がらせ防止法の立法提言」(第一次試案)を発表し、職場のいじめ・嫌がらせに対するあるべき立法を提言してきたところであるが、検討会の報告書に対し以下のとおり意見を述べるとともに、改めていじめ・嫌がらせに対する早期立法を求める。

 

2 ガイドラインではなく法的措置義務の立法をすべきである

 検討会報告書の最大の問題点は、とるべき具体的な対応策について、事業主に対する法的義務としての措置義務規定を創設すべきか、ガイドラインにとどまるかについての結論が先送りされた点である。報告書は、具体的対応策として、①行為者の刑事責任、民事責任(刑事罰、不法行為)、②事業主に対する損害賠償請求の根拠の規定(民事効)、③事業主に対する措置義務、④事業主による一定の対応措置をガイドラインで明示、⑤社会機運の醸成という5つの措置を検討している。

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