日本労働弁護団結成60周年宣言と御礼

2017/11/24

2017年11月10日(金)~11日(土)、浅草ビューホテルにて日本労働弁護団創立60周年記念総会を開催しました。

10日の記念シンポジウムは、会場ほぼ満員の350人、同夜の記念レセプションも同数程度の皆さまにご参加いただき、大変盛況でした。60周年特別記念号(「季刊・労働者の権利」323号)も発行し、ご参加いただいた皆さまにお配りし(※)、おかげさまでご好評を博しました。お忙しい中、皆さま、本当にありがとうございました。

ここに、日本労働弁護団結成60周年宣言(PDF)を掲載します。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

ご参加された方はこちらもご覧下さい御礼(PDF)

日本労働弁護団結成60周年宣言

 「日本労働弁護団」は、「労働者階級の権利を法廷の内外を通じて擁護することを目的」として、1957年5月27日に総評弁護団の名称で結成された。

結成にあたっての声明は、「われわれはひろく労働者階級の側にたって労働事件の弁護を担当し、労働者階級に対する法律上の相談相手となろうとするすべての弁護士を以って組織されるものであり、われわれは労働基本権の守り手として常に労働者階級とともに闘う」と意気高らかに述べている。

1989年10月20日、総評解散という事態のもとで、「日本労働弁護団」と名称を変え、総評弁護団32年の歴史と伝統を承継しつつ、思想・信条のちがいを乗りこえ、労働者の権利の擁護という一点においてかたく団結することを誓って、新たな出発をした。

以来これまで28年の活動を重ね、本年、総評弁護団結成から数えて60年を迎えた。

 非正規雇用化が進み、格差と貧困が拡大するとともに、長時間労働が蔓延し、過労死・過労自死は後を絶たず、ハラスメントが横行するなど、働く者のいのちと尊厳が損なわれる事態が拡がっている。

ILOフィラデルフィア宣言(1948)は、「労働は商品ではない」と宣言したが、労働の商品化は進み、働く者をめぐる状況は、「ディーセント・ワーク」(人間らしい尊厳ある労働)とは程遠い現状にある。労働組合の組織率も17%台と、未だ後退を脱していない。

今後働く者をとりまく労働環境はさまざまに変化し、IT化・AI化等の進展とともに労働のありようも変貌することになるであろうが、労働者と使用者間の社会的・経済的地位や交渉力の非対等性という本質は、これからも変わることはないであろう。

 働く者の権利確立のたたかいは終わることのないたたかいである。

日本労働弁護団は、働く者のおかれた状況を見据え、その地位・権利の確立と向上のためにこれからもその存在意義と役割を果たさなければならない。

「団結なければ権利なし」。日本労働弁護団は労働者の連帯と団結こそが働く者の権利の確立にとって不可欠であると考え、団結の強化と発展に寄与したいと願う。

日本労働弁護団は、働く者の権利を擁護する弁護士集団として、わが国の労働者・労働組合のたたかいに伴走し、その力強いサポーターであり続けたいと思う。日本労働弁護団は、結成時の熱き志を今に引き継ぎ、いっそう研鑽に励み、これからも働く者の権利が尊重される社会の実現を目ざして、広く労働者・労働組合と連携し、さまざまな活動を力強く展開する。

結成60年の時を刻んだいま、改めて、決意をこめて、ここに宣言する。

2017年11月10日

第60回記念総会 日本労働弁護団