有期労働契約に関する労働契約法一部改正の法律案に対する意見書(概要)
2012/3/30
有期労働契約に関する労働契約法一部改正の法律案に対する意見書(概要)
2012年3月30日
日本労働弁護団 幹事長 水口洋介
日本労働弁護団は、2012年3月30日、「有期労働契約に関する労働契約法一部改正の法律案に対する意見書」(以下、「意見書」という。)を発表した。この意見書の概要及び改正法案に対する修正要求は下記のとおりである。
記
1 改正法案の問題点
(1) 有期労働契約締結事由規制(入口規制)を盛り込まなかった点で、極めて不十分な立法となっている。労働弁護団としては、今後とも引き続き、「入口規制」の導入を求める。
(2) 改正法案の個々の条文には建議の趣旨に反し、また従来の雇止めの判例法理を後退させる恐れのある内容を含んでいる。
2 改正法案の修正要求
(1)「第18条 有期労働契約の期間の定めのない労働計契約への転換」の修正案
① 通算契約期間を「3年」とすべきである。(意見書2頁、第2、2、(3)、①)
② クーリング期間(空白期間)の計算について省令委任ではなく、法律に明記すべきである。(意見書2頁、第2、2、(3)、②)
③ 雇止めの誘発(副作用)を抑制するために、「期間の定めのない労働契約への転換を回避するために雇止めをしてはならない」旨を定めるべきである。(意見書2頁、第2、2、(3)、③)
(2) 「第19条 有期契約の更新等」の修正案
① 第19条の「契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした」とする条文を、「契約期間の満了後合理的期間内に有期労働契約の締結の申込みをした」と修正すべきである。(意見書5頁、第2、3、(3))
② 第19条の一号及び二号を、雇止めの判例法理と同様、「一 有期労働契約が無期契約労働契約と実質的に異ならない状態で存在していること」、「二 労働者においてその期間満了後も雇用関係が継続されるものと期待することに合理性が認められること」と修正すべきである。(意見書5頁、第2、3、(3))
(3) 「第20条 期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止」の修正案
① 「不合理であってはならない」との法文を、「合理的なものでなければならない」と修正すべきである。(意見書5頁、第2、4、(3))
② 法的効果を明確にするため、「前項に違反する労働条件を定める有期労働契約は無効となること」及び「無効となった部分は、期間の定めのない労働者の労働条件と同一とする」旨を定めるべきである。(意見書5~6頁、第2、3、(3))
以上