次期国会において、労働者派遣法の抜本改正を求める声明

2011/12/9

次期国会において、労働者派遣法の抜本改正を求める声明

 

2011129

日本労働弁護団

幹事長 水口洋介

 

1 2011127日、衆議院厚生労働委員会において、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(以下、「改正労働者派遣法修正案」と言う。)が、民自公3党による修正を経て、賛成多数で可決した。しかし、今国会での成立には至らなかった。

  日本労働弁護団は、修正前の政府案の内容は不十分ではあるものの、登録型派遣及び製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合における労働契約申込みみなし規定の創設等、派遣労働者保護のための規制強化に一歩踏み込んだものとして、早期成立を強く求めてきた。

2 今次、衆院厚労委で可決された改正労働者派遣法修正案は、改正の目玉であった登録型派遣及び製造業派遣の原則禁止規定が削除され、日雇派遣の原則禁止も緩和され、さらには、違法派遣の場合における労働契約申込みみなし規定の施行が法施行後3年後に延長されるなど、大幅に当初の政府案を骨抜きにするものとなっている。その結果、改正労働者派遣法修正案は、改正の契機となった派遣労働者が不安定な地位にあること及び低い労働条件下にあるという実態を無視するものとなってしまったことは、極めて遺憾である。

改正労働者派遣法修正案は、法律の名称に「派遣労働者の保護」を、目的規定に「派遣労働者の保護・雇用の安定」をそれぞれ明記し、違法派遣の場合における労働契約申込みみなし規定や日雇派遣の原則禁止の規定、マージン率の情報公開を義務化する規定等を置くなど、前進は見られるが、これだけでは、派遣労働者の雇用の安定や労働条件の是正を実現するには至らないと言わざるを得ない。

3 日本労働弁護団は、派遣労働者の雇用安定、労働条件改善のために、直接・無期限の雇用が大原則であるとの観点から、登録型派遣及び製造業派遣の禁止はもちろん、常用型派遣における派遣対象業務や利用事由の限定、マージン率の上限規制等、労働者派遣法の抜本改正が必要であると考える。

日本労働弁護団は、改正労働者派遣法修正案について次期国会の場で十分に審理を尽くし、あらためて改正の原点に立ち戻り、派遣労働者の雇用安定と労働条件改善に資する改正を実現するよう求めるものである。

日本労働弁護団は、今後とも、労働者及び労働組合と広く連帯して、派遣労働者の地位の向上のために、力を尽くすものである。