アッピール ストライキ権の再生を!!-プロ野球選手会のストライキが提起するもの-

2004/11/6

アッピール

ストライキ権の再生を!!
-プロ野球選手会のストライキが提起するもの-

1 労働組合プロ野球選手会は、近鉄球団とオリックス球団との統合をめぐる球団再編問題にかかわって、去る9月18、19日の両日、史上初のストライキを決行し、セ・パ両リーグで計12試合が中止となった。選手会のストに対しては、プロ野球ファンのみならず、多くの労働者、国民の強い関心と共感を呼んだ。
 
選手会は1985年東京都労働委員会によって法内組合として承認されているにもかかわらず、「たかが選手が」との某球団オーナーの労働者蔑視の発言、「選手会は労働組合として疑問がある」との日本プロ野球機構(NPB)の「組合否認」の姿勢、「経営事項」を理由とする交渉の拒否など、選手会と球団間の「労使関係」は、図らずも、わが国労使関係における使用者の反組合的性向を示すものであった。
 
統合問題や新規参入問題は選手の雇用・労働条件に関わる当然の団体交渉事項であったにも関わらず、損害賠償をちらつかせてのオーナー側の対応に対し、選手会が労働組合の尊重と誠実な団体交渉の実現、組合との合意による事態の解決を求めたのは、当然であり、「経営事項」を理由とする団体交渉拒否に正当な理由がないことはもとより、「違法スト」を理由とする「損害賠償請求」も到底法的に容認できるものではない。
 
選手会が損害賠償圧力に屈することなくストライキを敢行し、続く25、26日の第2次ストを背景にした交渉が球団側に従来の頑な姿勢を改めさせ、妥結を導いたことは明らかである。

2 リストラ、労働条件の切り下げ、不払残業、成果主義賃金の導入など労働者の雇用・労働条件が脅かされており、企業再編はこの契機ともなっている。
  一方、労使の対等性は失われつつあり、団結の力は後退し、ストライキを打つ組合は少ない。選手会が行った今回のストライキは、働く者の労働基本権としてのストライキのもつ意義とその効果を示すとともに、ストライキの権利性を社会的に認知させ労働者を励ますものとなった。
いうまでもなく、ストライキは憲法・労働組合法に保障された権利であり、働く者の雇用・労働条件の確保について誠実な対応をしない使用者に対してストライキ権の行使は当然のことである。
選手会のストライキを教訓として、働く者の要求実現のため、さらには団結の威力を示すため、ストライキのもつ意義を改めて確認しよう。ストライキ権を再生させ、働く者の団結の強化と拡大、そして労働運動を活性化させよう。

2004年11月6日

日本労働弁護団第48回総会