日本プロ野球選手会のストライキ問題に関する声明
2004/11/6
日本プロ野球選手会のストライキ問題に関する声明
2004年9月9日
日本労働弁護団
幹事長 鴨田哲郎
1.選手会が労働組合法上の労働者の団結体として、労働組合法上の労働組合であることは、東京地裁決定および東京高裁決定も認めるところであり、疑問の余地はない。また、選手会が労働組合法上団体交渉権を有することもいうまでもない。
2.選手会は、バッファローズとオリックス間のいわゆる「合併」の凍結を求め、これが受けいれられない場合、ストライキ権を行使すると伝えられている。確かに、「合併」それ自体は、高度な経営判断に属する事項ではあるが、「合併」が労働者の雇用・労働条件に重大な影響を与えることは必至であることからすれば、「合併」は雇用・労働条件と密接不可分にかかわるものとして、この観点からは、「合併」についても団体交渉の対象とならざるをえない。「合併」と「合併」に伴う雇用・労働条件を峻別する見解は、団体交渉権を実質的に制約するものであり、団体交渉により広く雇用・労働条件を自主的に決定するという集団的労使関係ルールに反するものと言うべきである。
3.選手会の今次ストライキの目的は、マスコミ等から知れる古田会長の発言等からすれば、「合併」それ自体の凍結や反対要求を貫徹するためのものというよりは、この間不誠実な対応をしてきた機構側に対する抗議と今後の誠実な交渉を求めることにあるものと理解される。
機構側の不誠実な対応については、高裁決定でも不当労働行為の責任を負う可能性があることが指摘されている。
4.以上の点からすれば、機構側が「合併」は経営の専断事項であるとして、誠実な交渉を行う姿勢を示していない現状の下で、選手会がストライキに訴えることはその目的において正当性が承認されるものと考える。
なお、機構側は選手会がストライキに及んだ場合には違法ストとして損害賠償請求をする意向である旨選手会側に通告しているとのことであるが、一方において不誠実な交渉をしながら、このような対応をすることは正当なストライキ権行使に対する不当な威嚇であるとともに、選手会の団結を事実上否認するものとして許されるべきではない。
以 上