(決議)公務員制度の改革を求める決議

2003/11/8

公務員制度の改革を求める決議

 政府・行政改革推進本部は、2001年12月25日に閣議決定した「公務員制度改革大綱」に基づき、公務員制度「改革」関連法案を次期通常国会に上程しようとしている。その骨子は、「労働基本権の制約については、これに代わる相応の措置を確保しつつ現行の制約を維持」するものとし、人事院の機能を縮小し、内閣と各府省の人事管理権を強化する能力等級制度の導入等を柱とする新人事制度の採用等である。
  しかし、政府は、これまで、制度の担い手である公務員労働者の労働組合との十分な交渉・協議を行っていない。公務員制度改革が国民本意の行政の実現を図るものであるならば、その内容は、担い手である公務員の労働基本権を中心とする基本的人権を保障し、国際労働基準を遵守して近代的労使関係を確立するものでなければならず、公務員労働者の労働組合との十分な協議は必要不可欠である。

 ILOは、2002年11月20日及び2003年6月20日「公務員制度改革大綱」に基づく制度改革は、わが国が批准している公務員を含む労働者の労働基本権を保障しているILO87号条約及び同98号条約に違反すると指摘し、日本政府がこの「改革」方針を再検討し、両条約に適合する公務員制度改革の実現に向けて関係者と率直かつ有意義な交渉を行うことを日本政府に勧告している。

 
日本労働弁護団は、これまでも、公務員制度の改革は、日本国憲法及びILO憲章、ILO87号、98号、151号(「公務における団結権の保護および雇用条件決定手続に関する条約」)の各条約、1998年宣言(「労働における基本的原則および基本的権利に関するILO宣言」)などの国際労働基準に沿うものとして実現されなければならないと意見表明してきた(2002年7月25日「公務員制度の改革についての要望」)。
  政府が、ILOの勧告を尊重し、公務員労働者・労働組合との十分な交渉・協議を行い、公務員労働者の労働基本権の「現行の制約を維持」することを前提とする「公務員制度改革大綱」を見直し、国際労働基準に合致した真の公務員制度改革を行うよう、改めて強く求めるものである。

2003年11月8日
日本労働弁護団第47回全国総会