(決議)動産・債権担保法制の改悪を許さない決議
2003/11/8
動産・債権担保法制の改悪を許さない決議
法制審議会の動産・債権担保法制部会は、本年10月以降、債権譲渡登記制度の緩和及び動産担保公示制度の創設の検討を開始した。
企業が経営破綻したとき、破綻企業が有する機械設備・原材料・在庫商品等の動産及び売掛金等の債権は、労働債権及び一般債権に弁済するための原資として重要な役割を果たしてきた。しかるに、1998年に施行された債権譲渡特例法により、企業が有する売掛金等の債権を金融機関の融資や商社の与信の担保とするための登記制度が創設され、企業破綻時に破綻企業の売掛金を金融機関や商社が担保権者として一人占めしてしまい、労働債権や一般債権の配当原資が乏しくなる事件が続発している。
これに加えて、債権譲渡登記制度の緩和による債務者不特定の将来債権の担保化及び動産担保の公示制度の創設がなされると、破綻企業の動産や債権は予め登記をした金融機関・ファンド、商社やリース業者のものとなり、企業破綻時に無担保のみるべき資産はほとんど存在しないこととなり、労働者と一般債権者が弁済を受けるのは著しく困難となることが明らかである。
日本労働弁護団は、本総会の名において、債権譲渡登記制度の緩和及び動産譲渡登記制度の創設に強く反対することを表明するとともに、法制審議会に対し、現行の債権譲渡登記制度を改正し労働債権保護の方策を講じることを求め、決議するものである。
2003年11月8日
日本労働弁護団第47回全国総会