審議会等の傍聴を認める運用を求める申入書
2022/3/25
審議会等の傍聴を認める運用を求める申入書
厚生労働省 御中
2022年3月25日
日本労働弁護団 幹事長 水野英樹
厚生労働省で開かれる全ての審議会等について、傍聴を認める運用を再開することを求めます。
厚生労働省で開催される審議会等における報告書やとりまとめは、法令に反映されるほか、政府の政策に反映されるなど、重要な事項であり、市民生活に大きな影響を与えうる事項です。それゆえに、市民にはその審議の経過を知ることが重要になってきますし、また市民が審議会等における議論に適切なタイミングで意見を述べることが重要となってきます。憲法で保障された「知る権利」を保障する意味でも、審議会等においては傍聴が認められる運用がなされてきたと理解しています。
ところが、審議会等の中には、新型コロナウイルス感染拡大防止を理由として、傍聴を認めない、あるいはメディア関係者等に傍聴を限定する運用が行われています。
これは市民の知る権利を損なう運用です。日本労働弁護団の会員は、審議会等から求められて、ヒアリングの機会に意見等を述べる機会がありますが、審議の経過を把握できなければ適切な意見を述べることも難しくなります。議事録は公開されますが、開催後1か月程度を要するのは普通ですし、審議会等によっては数か月公開されないこともあり、時期にかなった公開とは言い難く、傍聴の代わりとはなりえません。メディア関係者にだけ傍聴を認める運用は不公平ですし、メディア関係者の傍聴を認めても審議内容が詳細に報道されることはまれであり、市民の知る権利にはとうていこたえておりません。
新型コロナウイルス感染拡大防止は重要ですが、傍聴者の人数を制限する(その際もマスク着用など感染防止策を徹底する)、オンラインの傍聴を認めるなどの方策があり、感染拡大防止と傍聴を認める運用は両立しうるものです。
審議会等における審議を、市民の知る権利を十分に満たすかたちで市民が知ることができるよう、全ての審議会等において傍聴を認める運用を再開することを強く求めます。