ILOハラスメント禁止条約を批准しよう!集会アピール
2019/4/25
ILOハラスメント禁止条約を批准しよう!集会アピール
職場のハラスメント(職場のいじめ・嫌がらせ)は、深刻な社会問題である。本日の集会でも、登壇いただいた皆さまの報告から、職場における様々なハラスメント被害を救済する必要性が明らかとなった。
政府は、現在審議中の通常国会に、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」を提出し、衆議院で可決された。
この中で、事業主に対して職場のパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じることを法律で義務付けるとの方向性が示された。
また、附帯決議において、第三者からのハラスメントを受けた被害者あるいは加害者に対しても雇用管理上の配慮が必要であること、性的指向・性自認に関するハラスメントやアウティング行為もパワハラの対象となること、就活生やフリーランスに対するセクハラ防止措置が必要であることなどを指針に定めることとされた。
日本労働弁護団が従来から述べてきたように、パワハラ・セクハラ・マタハラというカテゴリーに分類してそれぞれ規制する法制度の在り方には限界があり、本来であれば、あらゆるハラスメントを包括的に防止・規制する独立の「職場のハラスメント防止法」の立法が必要である。その中には、雇用、就業形態に関係なく職場で働くすべての労働者が保護対象とした上で、事業主の措置義務規定に加え、ハラスメントのない環境で働く労働者の権利を確認する規定を設けるべきである。
また、ハラスメント防止の実効性を確保するためには、附帯決議でも触れられているように、損害賠償義務の根拠規定となりうるハラスメント行為禁止規定の創設が求められる。
6月のILO総会では、極めて広範なハラスメントを対象とした仕事の世界における暴力とハラスメントの禁止条約が採択される予定である。日本もこの条約を批准するとともに、国内法を整備すべきである。
今回、新たにパワハラに対する事業主の措置義務が設けられ、ハラスメント対策が進んだことは評価できるが、あるべきハラスメント防止法の観点から見れば、改善すべき点はまだ多い。私たちは、この法案を着地点とすることなく、より実効性のある法整備を目指していくとともに、職場におけるあらゆるハラスメントの根絶に取り組んでいくことを宣言する。
2019年4月25日 集会参加者一同