仕事と育児・介護の両立に関する意見書

2023/5/15

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仕事と育児・介護の両立に関する意見書

2023年5月15日
日本労働弁護団
会長 井上幸夫

第1 はじめに

2023(令和5)年1月26日、厚生労働省は、少子高齢化が進展する中で、男女ともに仕事と育児・介護を両立したいという希望がかない、安心して働き続けることができる環境を整備することは重要な課題であるとしたうえで、「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」を立ち上げ、仕事と育児・介護の両立支援制度等について、現状の分析や論点整理を行い、今後の在り方の検討を進めてきた。

そして、同研究会は、2023(令和3)年5月頃に論点の整理及び検討結果のとりまとめを行う予定であるとされている。

まず、同研究会の提起する課題が重要なものであることは疑いなく、検討がなされなければならないものである。ただし、男女ともに仕事と育児・介護を両立する環境の整備は、「少子高齢化が進展する中」であろうとなかろうと、自由・平等な社会の実現にとって重要な課題であることを忘れてはならない。育児・介護を行う者がそれゆえに職場、そして社会で直接・間接に不利益を被ることがあってはならないのであり、そのような社会及び制度を実現することが、研究会の提起する課題の検討の視点であるべきである。

また、厚生労働省雇用環境・均等局長が参集を求めた同研究会の構成メンバーには、労働組合など労働者側の代表が含まれておらず、労働者側の立場から、真に労働者の実態を踏まえた議論が適切になされているのか、疑問がある。

真の意味での仕事と育児・介護の両立を実現するためには、表面的な対応にとどまらず、前記視点に立ちつつ全労働者の働き方や、未だ職場や社会全体にはびこる性別役割分業の固定化の実態や意識を踏まえて、現状の分析や論点の整理を行い、今後のあり方の検討をする必要がある。しかし、これまでの同研究会の議論では、このような視点は希薄である。

そこで、本意見書では、そうした論点の整理及び検討結果のとりまとめに先がけて、同研究会において議論されるべき実務的ないくつかの問題点を具体的に指摘したうえで、当弁護団としての意見を述べるものである。

少なくとも、当弁護団は、以下に挙げる事項を検討することがそうした改善につながっていくものと考える。

 

第2 仕事と育児・介護の両立に関して検討すべき事項

1 全労働者の長時間労働の是正

⑴ 長時間労働の是正の必要性

仕事と育児・介護の両立の最大の障壁は長時間労働である。

育児時間をみると、「男性・正社員」では、「1時間~2時間未満」が31.0% でもっとも回答割合が高く、次いで「30分~1時間未満」が24.3%となっている。「女性・正社員」では、「8時間以上」が29.4%でもっとも回答割合が高く、次いで「3時間~4時間未満」が16.7%となっている。「女性・非正社員」では、「8時間以上」が38.8%でもっとも回答割合が高く、次いで「3時間~4時間未満」が13.1%となっている(厚生労働省委託事業「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」2021年3月)。

長時間労働の結果、男性が育児に関わる時間が短くなり、必然的に女性が育児に関わる時間が長くなる傾向にある。その結果、男女間でのキャリア形成や賃金に格差が生じているとみられる。これは、育児に限ったものではなく、介護についても同様のことがいえる。

つまり、現在の長時間労働による働き方が変わらないままでは、仕事と育児・介護の両立を掲げても、現実に家庭責任を負わされがちな女性労働者が職場から事実上排除され、当該労働者のキャリア形成が損なわれたり、「女性活躍」が実現できないというのが実態といえる。

また、周囲が長時間労働を行っている中では、時短勤務や残業制限の制度が利用しづらいというのも実態である。育児・介護に直接かかわっている労働者にかかわらず、全ての労働者の労働時間が短くなれば、仕事と育児の両立への道が大きく拓かれることになる。

これらの点から、真の意味での仕事と育児・介護の両立を実現するためには、職場全体における労働時間の見直しが不可欠である。

 

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⑵ 諸外国における仕事と育児・介護の両立に向けた長時間労働の是正

ア スウェーデン

スウェーデンでは、早くから労働者の権利保障と労働環境の整備に着手してきた。労働者の基本的権利を定める労働時間法(Arbetstidslagen:所定労働時間は週40時間以下)や有給休暇法(Semesterlagen:年間最低5週間、国家公務員は6週間)は遵守されており、6月から8月にかけて4週間連続した有給休暇を取得する権利が保障されている。

中央統計局(SCB)の「労働力調査(Arbetskraftsundersökning)」によると、2016年における全労働者の平均所定労働時間は、男性では週39.8時間、女性は週36.2時間(いずれも20~64歳)であった。

実労働時間は、所定労働時間より短く、平均値は男性で週34時間、女性では週28.5時間である。子育て期には労働時間を短縮するか育児休業を分割取得して労働日を減らすこともできるため、幼い子どものいる男女の実労働時間は相対的に短いといえる。20~64歳の雇用者のうち残業していた者は、男性19%、女性14.7%で、その平均残業時間は週当たり男性6.7時間、女性5.5時間である。雇用者全体の週平均残業を算出すると、男性1.3時間、女性0.8時間となる。業種・職種によるが、フレックスタイム制を導入している企業が多く、時間外労働分は貯めておき、他の日の労働時間を減らす、あるいは休暇(kompensationsledighet:代替休暇)として取得することも可能となっている(JILPT 資料シリーズNo.197「諸外国における育児休業制度等、仕事と育児の両立支援にかかる諸政策-スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国-」2018年3月)。

イ フランス

フランスの週法定労働時間は35時間で、年間の法定労働時間は1607時間となる。時間外労働について定められている労働時間の上限と期間が日本と大きく異なる。1日労働時間の上限は10時間であり、労働監督官の許可を得た場合やデクレ(Décret)に定められた緊急の場合、企業協約・協定、事業所協約・協定、それを欠く場合は部門別協定・協約の規定に基づき10時間を超えて12時間まで延長可能と改正された。これにより1週間の労働時間の上限は48時間まで、週平均44時間、最長12週続けて労働時間を延長することが可能となる。例えば、48時間を6週、40時間を6週という労働時間が可能となる。時間外労働が可能となる期間を制限することにより、恒常的な長時間労働を防止する意図であると考えられる。

2001年5月に発表された「週35時間制が生活に与えた影響に関する調査」結果によると、32%の男性、38%の女性が、時短後、家庭生活と職業生活の両立が容易になったと回答している。週35時間制によって、働く男性が家事や育児に参加する時間が増加したといわれている。フランスにおいては、小学校の送り迎えが義務づけられているが、週35時間制以前は、小学校終了の午後4時台に子どもを迎えに行くことはフルタイムの男性には不可能であった。しかし、週35時間制の導入により、男性が送り迎えを行うことが可能となるなど、家事の分担が進んだといわれている(JILPT 資料シリーズNo.197「諸外国における育児休業制度等、仕事と育児の両立支援にかかる諸政策-スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、韓国-」2018年3月)。

⑶ 長時間労働の是正のためにとりうる対策

長時間労働を是正していくためには、長時間労働に関する合理的な規制が不可欠である。そこで、当弁護団としては、長時間労働の是正のためにとりうる具体的な対策の一例として、以下の労働時間規制を提案する。

ア 労働時間の量的上限規制

前述したとおり、フランスにおいては、時間外労働に際して労働時間の上限と期間が定められているところ、そのような上限規制によって仕事と育児・介護の両立が容易になったといえる。

日本の現行制度でも、時間外労働の限度は月45時間、年間360時間とされているが、仕事と育児・介護の両立という観点からは不十分な上限規制である。

男女ともに仕事と育児・介護を両立したいという希望がかない、安心して働き続けることができる環境を整備するためには、時間外労働を含む総実労働時間の上限について、1日の上限10時間(労働協約により1日12時間まで延長可能)、1週の上限48時間(労働協約により1週55時間まで延長可能)とし、各週の実労働時間のうち法定労働時間(週40時間)を超過する部分の時間の合計の上限を年間220時間とすることを提案する。

とりわけ、仕事の育児・介護との両立の観点からは、育児・介護という家庭生活は毎日絶え間なく1日単位で展開され、事後の金銭等での補償では補えないものであることを踏まえて、現在法規制のない1日単位での労働時間の上限規制の制定により、最低限の生活時間の確保が可能となる法整備に向けた議論は急務である。

イ 勤務間インターバルの付与

男女ともに仕事と育児・介護を両立したいという希望がかない、安心して働き続けることができる環境を整備するためには、育児・介護に充てられる時間の確保も重要である。

しかしながら、日本の現行制度では、始業時刻から終業時刻までの中間におく休憩時間についての規定はあるが、勤務終了時刻から次の勤務開始時刻までの休息時間を義務づける規定、及び、拘束時間の上限の規定が存在しない。

そこで、使用者が労働者に対し、勤務開始時点から24時間以内に連続11時間以上の休息時間を付与すること(勤務間インターバル)を提案する(始業時刻が固定されているか否かを問わずに、労働から解放された終業時刻から11時間以上を経過しなければ、次の労働を開始することができない。また、始業時刻から終業時刻までの途中に長時間の休憩時間があっても、実労働時間と休憩時間の合計である拘束時間は13時間以内でなければならない。)。

ウ 使用者の厳格な労働時間把握義務の制定

労基法に労働時間の罰則付き上限規制が導入される等したことにより、これまで以上に使用者による厳格な労働時間の把握が求められるが、労働現場の実態としては、使用者において労働時間把握が果たされず、職場での時短の取り組みを進める前提条件すら調わない事案も多い。とくに、コロナ禍において活用が進んだテレワークは、育児・介護との両立を試みる労働者においても活用が進んでいるが、その際に、使用者において労働時間把握義務が果たされず、労働時間が密室化しやすい状況も生まれている。

そもそも、労基法には、明確な使用者の労働時間把握義務を課す規定がなく、労働時間把握義務を刑罰で担保する規定が存在しないのは、上記のような職場の現状を生みだす要因となっているのであり、労基法に、使用者の厳格な労働時間把握義務を定める必要がある。

エ 代替休暇制度の拡充

2010年に改正された労基法37条3項において、月60時間を超えた部分の時間外労働(休日労働を含まない)に対して支払うべき割増賃金について、割増賃金の支払いに代えて休暇を付与する、代替休暇制度が導入された。

この制度は、追加労働に対してはプレミアム付の賃金の支払で報いるのではなく、総労働時間をできるだけ所定労働時間に近付けるため、時間で返すというヨーロッパでの代償休暇制度の発想に基づく制度である。労基法上、時間外労働により奪われた生活時間を時間で取り戻すことを可能とする、時間清算を認める初めての制度であり、労働と育児・介護の両立という観点から大いに評価できるものといえる。しかしながら、この制度は、実務ではほとんど活用がなされていないのが実情である。

現在の労働時間規制は、時間外労働に対して割増賃金による補償を基軸とするが、長時間労働により育児・介護との両立が困難となっている労働者は、事後的に金銭で時間外労働に対する補償を受けたところで両立が可能となる訳ではないので、時間で返す、時間清算のこういった制度がより利用しやすいよう、現行制度の拡充を検討すべきである。

オ 育児・介護に対応する休暇制度拡充の検討

労基法が定める年次有給休暇の日数は少なく、育児や介護のために年休を使い切り、欠勤せざるを得ない状況が生まれるケースが多い。また、育児や介護のため、職場や同僚への迷惑がかかる状況から、職場での就労が困難になり、短時間勤務への切り替えや転職を強いられたりするなど(その多くは家庭責任を負わされがちな女性労働者)、女性労働者の就労継続やキャリア形成を阻害するケースも多い。

たとえば、現在も、育介法16条の2が定める子の看護休暇制度(子一人であれば年5日、2人以上であれば年10日)や、同法24条が定める育児目的休暇の努力義務などは存在するが、これでは十分であるということはできない。現状、法定の時短勤務が切れる場面でのいわゆる「3歳の壁」や、子どもの小学校入学時の「6歳の壁」といった社会問題が起きる背景には、現行法上の、育児等の目的別の休暇制度が不十分であることが指摘できる。仕事と育児・介護との両立を図るには、育児・介護に対応する休暇制度を拡充するよう、検討すべきである。

2 代替要員の確保

⑴ 代替要員の必要性及び代替要員確保のための支援の必要性

労働者が育児ないし介護のために休業する(以下「育児休業等」という)際、使用者としてはその労働力を補うための代替要員を必要とする場合がある。こうした代替要員を確保できれば、育児休業等の取得率向上につながり、育児休業等を取得した労働者に対する不利益取扱い等を防ぐ効果も期待できる。

もっとも、代替要員を確保するにあたってコスト増加を伴う場合には、事業主が代替要員を確保することに後ろ向きとなり、ひいては育児休業等の取得促進を妨げることとなる。そこで、代替要員の確保を支援する取り組みが求められる。

なお、代替要員を確保するにあたっては、新規の従業員を雇い入れたり新たに派遣労働者を受け入れることによる方法(以下「新規雇用型」という。)による場合と、既存の従業員が育児休業等取得者の業務を代替する方法(以下「既存従業員代替型」という。)による場合とがあり得るが、特に既存従業員代替型による場合には、当該既存従業員の業務過多を防止することが求められる。

⑵ 既存の代替要員確保支援の内容及び改善点

ア 育児休業について

現在、育児休業に関する代替要員確保のための支援策として厚生労働省が設けているものは以下のものがある((ア)と(イ)の併給は不可)。

(ア)出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)における代替要員加算

男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得した場合に対する助成に際して、育児休業取得者が担っていた業務を代替する労働者を新規雇用型によって確保した場合、20万円(代替要員が3人以上の場合45万円)が一回支給される。

(イ)育児休業等支援コースの業務代替支援

育児休業取得者の代替要員を確保した場合に所定の要件を満たすと、新規雇用型については50万円、既存従業員代替型については10万円が支給される(育児休業取得者が有期雇用労働者の場合は10万円の加算がなされる)。1年度あたり延べ10人までを限度とする。

イ 介護休業について

同じく、介護休業に関する代替要員確保のための支援策として厚生労働省が設けているものとして、介護休業取得者の代替要員を確保した場合に所定の要件を満たすと、新規雇用型については20万円、既存従業員代替型については5万円が支給されるというものがある(介護離職防止支援コース)。

ウ 改善点

これらの支援は、事業主が代替要員を確保するためのコスト軽減に資するものであり、かかる支援がなされていること自体は評価すべきものである。

もっとも、長期の休業を取得することで会社や周りの従業員に迷惑をかけてしまうという認識が強い現状においては、安心して長期の休業を取得することを促す仕組みが必要である。

特に育児休業に関して、上記ア(ア)については、連続5日間以上の育児休業を取得した場合に助成され得るものであるが、より長期の育児休業の取得を促す観点からは、上記ア(イ)と合わせた制度設計において、育児休業の期間に応じて助成額が変動するような仕組みも検討すべきである。

また、既存の支援は上記ア・イのような助成金によるものとなっているところ、既存従業員の負担軽減等の観点からは、より直接的に代替要員の確保を義務付けることを指針等に明記することも検討されるべきである。

⑶ 産休・育休から復帰した労働者の雇用継続

育児休業等取得者の復帰が妨げられることはあってはならず、原則として休職前の原職または原職相当職に復帰させるべきであり、これが適わない場合にも最大限本人の希望が考慮されるべきである。このことは、育児休業等の間、代替要員が確保された場合にも同様である。

現在、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成21年厚生労働省告示第509号)第2・7において、以下のとおり定められている。

「7 法第22条の規定により育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理に関して必要な措置を講ずるに当たっての事項

(1) 育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること。

(2) 育児休業又は介護休業をする労働者以外の労働者についての配置その他の雇用管理は、(1)の点を前提にして行われる必要があることに配慮すること。」

同指針は、原則として休職前の原職または原職相当職に復帰させるべきことを定めたものと理解されるが、かかる趣旨をより明確に定めるべきである。

また、復職に際して、復職先や復職時の就業条件等について当該労働者の意見を聴取すべきこと、及びその時期等についても指針に定めるべきである。

 

3 転勤命令における育児・介護への配慮

⑴ 研究会において、検討が進められていないこと

転居を伴う転勤命令は、育児や介護に重大な影響をもたらす喫緊の課題であるにもかかわらず、研究会においては検討が進められていないように見受けられる。速やかな問題の整理と対策の検討が必要であることを本項冒頭で指摘する。

⑵ 転居を伴う転勤命令の有効性につき、「育児」すら適切に考慮されない現状

育児介護休業法(以下「育介法」という。)は、26条において「労働者の配置に関する配慮」として、「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」と定め、転居を伴う転勤命令(以下、単に「転勤命令」という。)を行うに当たって、使用者が労働者の育児(介護)の状況に配慮する義務があることを明記している。同規定は、平成13年改正により、追加されたものである。

配慮することの内容としては、指針[1]において、①その労働者の子の養育又は家族の介護の状況を把握すること、②労働者本人の意向を斟酌すること、③就業場所の変更を行う場合は、子の養育又は家族の介護の代替手段の有無の確認を行うこと等が例示されている。

他方で、裁判所は、転勤命令の有効性について、「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存在する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。」という昭和61年当時の最高裁[2]の判断枠組みを今だに用いている。

その中で、転勤命令に応じた場合に育児上生じ得る支障の有無やその程度については、「労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等の特段の事情の存する場合」に該当するか否かという観点で業務上の必要性と比較考量されるが、労働者に対して厳しい判断が示されることが一般的傾向であると指摘されてきた[3]

確かに、一部の裁判例においては、労働者の子どもの状態に鑑み、転勤命令は使用者の権利濫用であり、違法と判断されたものもある。

例えば、妻と病気の子ども2人と同居し、子ども(及び体調不良の両親)の看護をしていたところ、一家で転居することが困難であり、また単身赴任をした場合には、妻に過重な負担を課すこととなることから、転記命令が「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである」とした裁判例[4]や心臓に関する特定疾患を抱え、主治医による定期的な観察、治療が不可欠なものとされている重病の子どもの看護をしていたことから転勤命令が相当な不利益を課するものであるとした裁判例[5]がある。

しかし、かかる「特段の事情」がなく、家族で一緒に生活したい、育児に携わりたい、という労働者のささやかな希望に対しては、にべもなく冷淡な判断を下されることになる。

現在でもその傾向はほとんど変わっておらず、大阪の事業所から神奈川の事業所への転勤命令の有効性等が争われた事件[6]においては、原告が、長男(小学生)が自家中毒に罹患していることや通院の必要があること等を主張したにもかかわらず、裁判所は、「原告の主張する事情を全て考慮したとしても、現住所地から通院できる医療機関においてのみ受けることのできる特別な治療をうけなければ長男の生命等に重大な結果が生じかねないような特段の事情のない本件においては、本件配転命令につき、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益があるということはできない。」と指摘し、家族の生命に関わるような重大な問題が生じない限り、家族(育児)の問題が配転命令の有効性に影響することがないかのように述べている。

⑶ 転勤がもたらす影響について

配偶者(例えば夫)の転勤は、もう一方(例えば妻)の就業にも深刻な影響をもたらしている実態もある。

JILPTの調査[7]においても、転勤後、その配偶者がそれまでの勤め先を辞めた割合が、国内転勤については27.4%、海外転勤にいたっては49.3%にも上るという回答結果もある。共働き世帯や育児等に携わる従業員の増加等にともない、慣行的に行われてきた転勤による様々な問題点が顕在化してきているところである。

使用者側においてもかかる問題を認識しているところであり[8]、配偶者の転勤による離職に対応すべく、「勤務地変更制度」や「休職制度」「再雇用制度」といった制度(これらのうちいずれかあるいは複数)を設けている企業も存在するが、これらの制度によって、問題が全て解決している訳ではない。

休職すれば、キャリアは中断するし、勤務地の変更も業務の変更を伴えば、それによってキャリアが歪められる可能性がある。また、企業のニーズがなければ、再雇用に至らないケースもありうる。

また、JILPTの調査[9]において、転勤があることにより、「結婚しづらい」(29.3%)、「子供を持ちづらい」(32.4%)、「育児がしづらい」(53.2%)、「進学期の子供の教育が難しい」(65.8%)という回答結果も出ている。

⑷ 仕事と育児・介護の両立に向けた配転命令に関する提案

転勤命令に対する司法判断が極端に硬直的であり、労働者への配慮にあまりにも欠ける傾向がある一方で、転勤によって生じる家庭への影響はとりわけ重大である。

転勤が安易に許容されることによって、もう一方の配偶者の生計やキャリアまでもが簡単に崩され、歪められる。また、転勤制度があることにより、当該労働者が結婚や出産、育児を躊躇せざるを得ない実態も明らかになっている。

以上の実態からすれば、労働者が仕事と育児・介護との両立を困難とするような配転命令に対して、これをより厳しく規制する法改正が不可欠である。

その一例として、以下の様な法改正が検討されるべきである。

まず、転勤する場合に育児・介護を行うことが困難となる労働者への配慮義務を定める育介法26条の規定を法的義務規定に格上げし、具体的な義務の内容を指針にとどめるのではなく、育介法上の条文に追加するべきである。

そのうえで、転居を伴う転勤命令は権利を濫用した場合には無効となる旨を法文に明記するなどして、無制限に転居を伴う転勤命令が認められるものではないことを周知すべきである。

また、労働弁護団においては、労働契約法成立法提言(2005年5月19日)において、職種または就業の場所の変更を伴う配転命令に関する条文案とその解説を示しているところであるから、これも参考にされたい。

 

4 有期雇用労働者の育児・介護休業の取得促進

⑴ 有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件の緩和

令和4年3月31日まで、育児休業及び介護休業に関して、有期雇用労働者には、①同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること、②子が1歳6か月に達する月までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと、これらの2つの要件が課されていた。

しかし、令和4年4月1日より施行された育介法の改正を受けて、令和4年4月1日以降、①の要件は撤廃され、②のみとなった。なお、無期雇用労働者か有期雇用労働者であるかにかかわらず、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者について労使協定の締結により除外することは可能とされているが、育介法の改正後に育児休業を取得できる従業員を制限(勤続1年未満の労働者を除外)するには、法改正後に改めて労使協定を締結する必要があるとされている。

⑵ 有期雇用労働者の育児休業取得の実態

令和元年10月1日から令和2年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性のうち、令和3年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は85.1%と、令和2年度の調査結果(81.6%)より3.5ポイント上昇している。

また、同期間内に出産した、有期雇用労働者の育児休業取得率は68.6%で、令和2年度の調査結果(62.5%)より6.1ポイント上昇している。

無期雇用労働者、有期雇用労働者、ともに育児休業取得率は上昇傾向にあるといえるものの、全体に占める割合はいまだに有期雇用労働者の方が大幅に低いのが現状である。

前述した有期雇用労働者の育児休業の取得要件の緩和を受けて、有期雇用労働者の育児休業取得率に変化が見られるか注視したうえで、育児休業取得率に変化が見られない場合には、後述する制度の説明義務等の徹底を使用者に求める対策を講じる必要がある。

⑶ 妊娠・出産に関する雇止めの制限の新設

育児休業の取得要件が緩和されたものの、有期雇用労働者は、無期雇用労働者よりも地位が不安定であるのは紛れもない事実であり、それゆえに、安心して産前産後休暇や育児休業を取得できないという側面がある。また、地位が不安定であるために、ハラスメント被害を受けることも多い。

そこで、有期雇用労働者に対する雇止めに関して以下の制限を設けることを提案する。

ア 産前産後休業中及びその後30日間の解雇禁止と同様の制限

現状、労働基準法19条1項に基づき、産前産後休業中とその後30日間に使用者が労働者を解雇することは絶対的に禁止されている。

労働基準法19条1項の趣旨は、労働者が安心して産前産後休業を取得できることを保障するという点にあり、これは、無期雇用労働者と有期雇用労働者で区別すべきものではない。

そのため、解雇と同様に、雇止めについても、産前産後休業中とその後30日間は絶対的に禁止するという制限を新たに設けるべきである。そのような制限によって、有期雇用労働者が、より安心して産前産後休業を取得することができるといえる。

イ 妊娠中または出産後1年以内の雇止めに関する立証責任の転換

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(以下「均等法」という。)9条4項は、妊娠中または出産後1年を経過していない女性に対する解雇は、使用者が妊娠・出産を理由とするものでないことを立証しない限り無効であると定めており、立証責任が使用者側に転換されている。

均等法9条4項の趣旨も、労働者が安心して妊娠、出産及び育児ができることを保障するという点にあり、これは、無期雇用労働者と有期雇用労働者で区別すべきものではない。

そのため、解雇と同様に、雇止めについても、妊娠中または出産後1年を経過していない女性に対する雇止めに関する立証責任を使用者側に転換する制限を新たに設けるべきである。そのような制限によって、有期雇用労働者が、妊娠、出産及び育児を行うことができるといえる。

 

5 男性による育児休業の取得の促進

⑴ 育介法の改正による産後パパ育休の創設

2022(令和4)年4月1日から2023(令和5)年4月1日にかけて、育介法の一部を改正する法律が施行された。

同改正では、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修や育児休業等取得事例の収集・提供等)、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置、さらに特徴的な改正として産後パパ育休(出生時育児休業)の創設等がなされた。

産後パパ育休とは、子の出生後8週間以内に4週間まで子の父親が取得可能な育児休業であり、労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とするものである。

⑵ 男性労働者による育児休業取得を阻害する要因

上記改正の背景には、日本では現在も第1子出産後に約5割の女性が出産・育児により退職しているという事情がある(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」より)。

このような出産・育児による離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会を実現するためには、男性の育児参加が不可欠である。育児・介護に限らず、だれしも業務の負担を軽減しなければ乗り越えられないような人生のステージがある。女性労働者だけが育児等の責任を感じて退職を選択せざるをえないという状況を打破するためには、家庭でも職場でも支え合うことが必要であり、男性の育児休業取得の促進は、その一歩といえる。

しかしながら、男女の育児休業取得状況には大きな差が存在する。厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は令和2年度で12.65%、取得期間は約8割が1か月未満である。一方で、育児休業制度の利用を希望していたができなかった男性・正社員労働者の割合は約4割であり(三菱UFJリサーチ&コンサルティング「仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」(平成30年度))、男性・正社員労働者が育児休業制度を利用しなかった理由は、「収入を減らしたくなかったから」、「職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから」、「自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから」が多くなっている(厚生労働省委託事業「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」)。

⑶ 男性の育児休業取得を促進するための対策

男性が育児休業を取得しやすくするためには、育児休業の一部期間だけでも給与相当額を全額保証すること、人事上の不利益を一切なくすこと(育児休業の取得期間を昇給、昇格に影響させない等)、経営方針として育児休業の取得を進めること、育児介護の理解促進のための研修を行うこと、育休取得者に不公平感を抱かれないような職場風土を醸成すること、取得率や取得事例の情報共有、業務の調整等が重要である。

前述した法改正では、育児休業の取得の促進にあたって何よりも重要な経済的、人事的な保障について、何ら対応がなされていない。現政権は、2023(令和5)年3月18日の記者会見において、出産後の一定期間、男女ともに育児休業を取得した場合、休業前と同程度の手取り額を確保できるように育児休業給付金の水準を引き上げる方針を表明したと報道されているものの、財源や開始時期等の具体的な内容には何ら言及されていないというのが実情である。

 

6 制度の周知・啓発義務

妊娠、出産、育児、介護に関しては、母性保護や仕事との両立支援のための権利・制度が多数整備されているものの、その根拠法令は労働基準法(産前産後休業、育児時間等)、均等法(母性保護、マタハラ防止措置義務等)、育介法(育児介護休業、時短勤務等)と分かれており、さらに各制度の詳細は規則や指針の定めに委ねられているものもあり、極めてわかりにくいものとなっている。

また、各企業においても、就業規則には育児・介護に関する権利制度は法令の定めるところによる旨のみが記載され、これらの権利・制度をすべて具体的に明記していない企業も多い。

そのため、法令で保障されている権利・制度をそもそも知らない使用者・労働者が少なくない。その結果、労働者がこれらの権利制度を活用しきれていない現状がある。また、例えば、切迫流産により時差出勤ないし時短勤務を求めた有期労働者に対して上司が応じられない旨述べたケース(均等法13条母性保護制度の不知)、有期労働者に対して有期であることを理由に育休取得を拒否したケース(育介法5条の不知。なお、除外協定は結ばれていなかった。)、育児を理由とする時短勤務を要望したところパート契約への変更を求められたケース(労働者も育介法23条を理解しておらず同意してしまった)など、権利・制度の不知による不利益取扱、ハラスメントが多数発生している。

よって、事業主に対し、法令等に定められたこれらの権利・制度について、すべての労働者に周知、啓発することを義務化すべきである。また、権利・制度の理解促進にあたっては、研修が効果的であるため、事業主に対して研修実施を義務化すべきである。さらに、令和4年4月1日施行の改正育介法では、育児休業等についての個別周知が義務化されたが、個別周知義務の対象も妊娠、出産、育児、介護に関するすべての権利・制度に拡大すべきである。

 

7 雇用によらない働き方と育児・介護の両立

⑴ フリーランス人口の増加

内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果」(令和2年5月)によれば、フリーランスの人数は462万人(本業214万人/副業248万人)と試算されている。日本の就業者数は6650万人とされているから(総務省統計局「労働力調査」2021年11月分)、現在、フリーランスは無視できない割合に上っている。

また、2016年8月2日に厚生労働省が「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために懇談会 報告書」を発表し、雇用によらない働き方の規律のあり方について言及して以降、政府は「雇用関係によらない働き方」「柔軟な働き方」「雇用類似の働き方」なる働き方について継続的に議論を行い、これらを推進してきた。

このような状況により、出産育児を経験する世代にもフリーランスが増加していることは、容易に想像できる。

⑵ フリーランスへの社会保障や産休育休制度の不十分さ

しかし、フリーランスへの社会保障は非常に手薄である。

出産育児でいうと、フリーランスが受給できる社会保障は、出産一時金のみであることがほとんどである。

労働者であれば対象となる

・出産前後の社会保険料免除、育児期間にかかる社会保険料免除

・出産手当金の受給

・育児休業給付金の受給

については、フリーランスは受けられないことが多い。

また、そもそもフリーランスには、産前産後休暇や育児休業といった制度が存在しない。このような状況から、出産育児を経験したフリーランスは、出産後の休業期間が非常に短いことが多い。

2017年12月19日~31日にかけて、「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」が、20~50歳までのフリーランスまたは法人経営者等であり、雇用関係にないため産休・育休を取得できず、働きながら妊娠・出産・育児をした経験のある女性を対象に行ったアンケート調査[10]によると、

産後に仕事を継続した回答者のうち、仕事に復帰した時期は、

「出産当日」「出産翌日」「産後2~3日」を合わせて9.4%、

「産後1週間」が13.2%、

「産後1ヶ月」が22.2%、

「産後2ヶ月」が14.2%、

「産後3ヶ月」が9.4%

であり、回答者のうち実に約7割が、産後3ヶ月以内に仕事復帰している。

⑶ フリーランスにも事実上の産休育休制度の創設を

フリーランスが出産後に休業できない理由は、長期間休業すると、仕事相手から仕事を打ち切られ、キャリアを継続できないのではないかという懸念からであると考えられる。

そのため、フリーランスについて、出産育児を理由とした契約の打ち切り等不利益取り扱いの禁止を定め、出産育児による休業を事実上認めるべきである。

なお、本国会で成立したフリーランス新法は、第13条において、特定業務委託事業者は、業務委託の相手方である特定受託事業者からの申出に応じて、当該特定受託事業者が妊娠、出産若しくは育児又は介護と両立しつつ当該継続的業務委託に係る業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければならないと定めている。

しかし、「必要な配慮」では足りず、「特定受託事業者が妊娠したこと、出産したこと、又は妊娠出産育児に伴う休業を請求したことを理由として、当該特定受託事業者に対して契約の不更新その他不利益な取扱いをしてはならない」等、出産育児を理由とした契約の打ち切り等不利益取り扱いの禁止を明示的に定めるべきである。

⑷ フリーランスの出産育児についての社会保障の充実を

上述のとおり、

・出産前後の社会保険料免除、育児期間にかかる社会保険料免除

・出産手当金の受給

・育児休業給付金の受給

についてはフリーランスは受けられないことが多いことから、これらについてフリーランスにも保障が及ぶようにすべきである。

このうち、出産前後の社会保険料免除、育児期間にかかる社会保険料免除については、令和5年3月31日付「こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」において、「創設に向けた検討を進める」とされている。

しかし、出産手当金の受給や、育児休業給付金の受給については言及されていない。

2022年11月24日の「全世代型社会保障構築会議」では、「育児で時短勤務を選んだ人や、育児休業制度のない自営業者などの経済的サポートを強化するため、一定期間給付を行う新たな仕組みを創設する」としていると報道されていたが、令和5年3月31日付「こども・子育て政策の強化について(試案)~次元の異なる少子化対策の実現に向けて~」においてはこれについて言及されていない。フリーランスもこれらすべての社会保障を受けられるようにすることが求められる。

また、フリーランスは、自身の子を認可保育園に入園させることも困難である場合が多い。これは、多くの自治体で、認可保育園の申し込み時にフリーランスが産休育休を取得していると「無職」と扱われてしまったり、休業していなくとも自営業者の方が労働者よりも入園選考のための点数(指数)が低く設定されていたりするためである。

そのため、フリーランスは無認可保育園を利用せざるを得ないことが多く、保育料も高くなる傾向にある。フリーランスであっても認可保育園に入園させることができるよう、入園選考のための点数(指数)基準を見直すことも必要である。

以上

[1] 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針・第2の15(令和4年4月1日改正)

[2] 東亜ペイント事件(最判昭和61年7月14日・集民148号281頁)

[3] 『配転・出向』177頁等、青木宗也・中山和久・本多潤亮・片岡昇・外尾健一・籾井常喜編(1991)労働旬報社

[4] 北海道コカ・コーラボトリング事件・札幌地決平成9年7月23日労判723号62頁

[5] 日本レストランシステム事件・大阪高判平成17年1月25日労判890号27頁

[6] NECソリューションイノベータ事件/NECソリューションイノベータ(配転)事件・大阪地判令和3年11月29日判例時報2533号38頁

[7] 「企業の転勤の実態に関する調査」JILPT調査(2017年10月発表)86頁

[8] 経済同友会(2017)「生産性改革に向けた日本型雇用慣行の改革へのチャレンジ:未来志向の『足るを知る』サスティナブルな成長社会の実現」26頁以下

[9] 「企業の転勤の実態に関する調査」JILPT調査(2017年10月発表)100頁

[10] https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2018/02/20180222_wap_surveyall.pdf