セクシュアルハラスメントのない職場の実現を求める声明

2018/6/1

セクシュアルハラスメントのない職場の実現を求める声明

2018年6月1日
日本労働弁護団
幹事長棗一郎

1 財務省事務次官によるセクシュアルハラスメント報道
 今年4月、女性記者が財務省事務次官によって取材中に繰り返しセクシュアルハラスメントを受けていたことが、記者から情報提供を受けた週刊誌によって報じられ、同事務次官は事実を否定したまま辞任した。財務省は、当初、事務次官の弁明を詳細に公表し、被害を受けた記者に財務省顧問弁護士に被害を申告するよう求めたが、被害者に「名乗り出る」ことを求める調査手法への世論の反発を受けて、被害者を特定しないままセクシュアルハラスメントを認定した。
 このような中、麻生財務大臣は、事務次官を擁護したり、「番を男にすればよい」とか「セクハラ罪という罪はない」と開き直る発言を繰り返し、自民党議員はセクシュアルハラスメントへの抗議行動をする女性議員らを侮辱、下村文部科学大臣は、被害者が次官の発言を録音し週刊誌に提供したことについて「犯罪」とする発言を行うなど、セクシュアルハラスメントを軽視するかのような政権与党議員らによる発言が相次いでいる。
 行政事務方トップによるセクシュアルハラスメントに留まらず、政権与党議員からセクシュアルハラスメントを容認する発言が相次いでいることは言語道断である。

2 職場におけるセクシュアルハラスメントが後を絶たないこと
 財務省の事務方最高責任者によるセクシュアルハラスメントとその後の政権与党の対応は、日本において職場でのセクシュアルハラスメントが後を絶たない現状を露わにしたことによって、社会に衝撃を与えた。
 2015年度に都道府県労働局雇用均等室に対し労働者からなされた12,255件の相談のうち最も多い6,827件(55.7%)が均等法11条関係(セクシュアルハラスメント)の相談であった。また、昨年10月に連合が行った調査(ハラスメントと暴力に関する実態調査)によれば、40%を超える人が職場でセクシュアルハラスメントを受けた又は見聞きしたと回答している。このほか、日本労働弁護団が毎月2回実施している女性のためのホットラインにおいても、セクシュアルハラスメントに関する相談は毎回複数件寄せられている。

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