大阪市による組合攻撃を許さない集会アピール
2012/3/21
大阪市による組合攻撃を許さない集会アピール
大阪市における大阪市職員及び職員で組織する労働組合に対する橋下徹大阪市長の一連の措置については、大阪市だけの問題ではなく、広く労働者の基本的人権、団結権を損なう重大な問題であり看過することはできない。
橋下徹大阪市長は2月9日、大阪市職員に対し、「労使関係に関する職員のアンケート調査」の配布を指示し、これに回答するよう職務命令を発した。
本アンケートは労働組合への加入やその活動への参加の有無、・程度及び労働組合に相談した経験の有無、組合に加入するメリット、組合に加入しないことの不利益及び組合費の使途についての見解など、組合活動について具体的詳細に回答を求めている。さらに、街頭演説を聞くことを含む活動の有無など、職員の政治活動についても立ち入り、回答を求めるものである。大阪市はこれらの事項への回答を業務命令と位置づけ、「正確な回答がなされない場合は処分の対象となりえる」として、各職員に氏名・職員番号を明らかにさせた上で回答を強制している。
本アンケートが、職員に対して労働組合への加入の有無、参加の有無・程度や組合活動についての見解を問うことは、労働組合の運営・活動にかかわる事項に対しての回答を強制するものであって、組合活動に対する極めて露骨な支配介入行為であり、典型的な使用者による労働者の団結権侵害の行為にほかならない。日本国憲法28条はすべての勤労者に団結権を保障しているが、地方公務員も憲法上の「勤労者」であり、その団結権も当然保障される。本アンケートの実施による組合活動への支配介入行為は、憲法上の団結権を具体化した労働組合法上、類型的な不当労働行為として明確に禁止されている。使用者でありかつ公権力である大阪市が、本アンケートの実施により、憲法上保障された職員の団結権を侵害することは許されない。
政治活動についても、地方公務員にも憲法上政治活動の自由及び、政治的意見を含めた思想良心の自由が保障されている。街頭演説会を聞くなどの一般的な活動も含めて政治活動への参加の有無を処分を背景としつつ問いただすことは、大阪市職員の政治活動に萎縮効果を与え、その市民的自由を侵害するものにほかならない。
さらに本アンケートの実施にとどまらず、大阪市は、新市長就任直後から「職員組合と市役所の体質をリセットする」などとして、職員組合に対して庁舎内の組合事務所からの退去を通告する、市職員の庁内ネットワーク上で送受信したメールにつき、職員に通知することもなく、本アンケートの提出先であって組合問題を担当する大阪市特別顧問を調査リーダーとした調査に着手するなど、大阪市職員の団結権及び正当な労働組合活動を嫌悪し、その活動に対して支配介入をしようとする意図を剥き出しにした組合攻撃を次から次へと断行しようとしている。本アンケートを含めたこのような露骨な団結権侵害行為を、我々は到底看過することができない。
大阪市によるこれら一連の労働組合に対する攻撃に対しては、断固として闘い、何としてもこれを跳ね返さなければならない。それは第一に、大阪市という公権力によるこれらの攻撃が、日本国憲法の保障する国民の基本的人権を蔑ろにするものであって、専断的な公権力の支配を排斥し、権力を法で拘束することによって国民の権利・自由を擁護するという法の支配の原理そのものを覆しかねない根本的な問題をはらんでいるものだからである。第二に、大阪市による一連の組合攻撃は、大阪の公務員労働組合のみにとどまらない広がりを持つ問題であるからである。それは他の地方自治体の労働組合に対しても同様の動きを誘発するものであり、また憲法に直接拘束されるはずの公権力による基本的人権侵害が容認されるような先例は、私企業対しても同様な行為が許されるものであるという誤った認識を抱かせかねない重大な危険を抱えている問題なのである。
本アンケートの実施については、日本労働弁護団や日弁連を含め、多方面からこれを批判し、抗議する声明が相次いで発表された。また職員組合による大阪府労働委員会に対する不当労働行為救済申立も行われた。これらの活動を受けて、大阪市が本アンケートの実施を凍結することを表明するに至っている。また組合事務所の使用不許可については、職員労働組合が大阪地方裁判所に対して不許可処分の取り消し及び使用許可の義務付けを求めて提訴している。我々はここに、大阪市に対し、未だ凍結中に止まる本アンケートの即時中止、回収済のアンケートの廃棄、さらに大阪市による上記一連の組合攻撃を止めて正常な労使関係を回復することを要求するとともに、職員労働組合及びこれを支援する労働者・労働組合とともに、大阪市による組合攻撃に立ち向かい、これを跳ね返していく決意であることを表明する。
2012年3月21日
「橋下市長の労組攻撃を跳ね返そう!-労働者・労働組合の団結権を守る集会」参加者一同