審議無き骨抜き改正労働者派遣法の衆議院可決に抗議し参議院での十分な審議と抜本改正を求める声明
2012/3/9
審議無き骨抜き改正労働者派遣法の衆議院可決に抗議し
参議院での十分な審議と抜本改正を求める声明
2012年3月9日
日本労働弁護団
幹事長 水口洋介
1 昨日、衆議院において、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律(以下、「改正労働者派遣法」と言う。)が、民自公3党による修正を経て、賛成多数で可決された。
日本労働弁護団は、修正前の政府案の内容は不十分ではあるものの、登録型派遣及び製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合における労働契約申込みみなし規定の創設等、派遣労働者保護のための規制強化に一歩踏み込んだものとして、早期成立を強く求めてきた。
2 これに対し、昨年12月7日、民自公3党は、改正の目玉であった登録型派遣及び製造業派遣の原則禁止規定を削除し、日雇派遣の原則禁止も緩和し、違法派遣の場合における労働契約申込みみなし規定の施行を法施行後3年後に延長するなど、当初の政府案を大幅に骨抜きにした修正案を衆議院厚生労働委員会で強行に可決した。修正案は国民の強い反対運動による成果で、昨年の臨時国会で成立するには至らず廃案となり、当初の政府案が継続審議となった。日本労働弁護団は、次期国会の場で十分に審理を尽くし、改めて改正の原点に立ち戻り、派遣労働者の雇用安定と労働条件改善に資する改正を実現するよう強く求めてきた。
3 それにもかかわらず、民自公3党は派遣労働者の雇用安定等を求める国民の声を無視し十分な審議を全く行うことなく、再度、昨年の修正案と全く同一の大幅骨抜き修正案を衆議院において強行に可決した。
改正労働者派遣法は、法律の名称に「派遣労働者の保護」を、目的規定に「派遣労働者の保護・雇用の安定」をそれぞれ明記し、違法派遣の場合における労働契約申込みみなし規定や日雇派遣の原則禁止の規定、マージン率の情報公開を義務化する規定等を置くなど若干の前進はあるものの、これだけでは、派遣労働者の雇用の安定や労働条件の是正を実現するには到底及ばない。
日本労働弁護団は、骨抜きにされた改正労働者派遣法について参議院で十分に審議をやり直し、派遣労働者の雇用安定、労働条件改善のために、直接・無期限の雇用が大原則であるとの観点から、登録型派遣及び製造業派遣の禁止、常用型派遣における派遣対象業務や利用事由の限定、マージン率の上限規制等、労働者派遣法の抜本改正を強く求めるものである。