ワーキングプア・貧困問題に取り組む決議

2007/11/10

 

ワーキングプア・貧困問題に取り組む決議

私たちが暮らすこの日本で、ワーキングプアに象徴される貧困問題が、急速かつ深刻な広がりを見せている。平均所得以下の収入で暮らす世帯は全世帯の6割、2006年の相対的貧困率(平均所得の半分以下の所得しかない世帯の割合)はOECD諸国中アメリカに次いで第2位の13.5パーセントに達する。年収200万円以下の労働者は1000万人を超え、勤労者の平均給与は9年連続で減少している。年収300万円以下の働く女性の割合は3分の2に達し、母子世帯の収入は一般世帯の半分以下である。経済生活問題を原因とする自殺は増加の一途を辿り、国民健康保険料を納められず、必要十分な医療を受けることができない世帯も500万世帯に迫ろうという勢いである。

これらの貧困世帯は失業状態にあるわけではない。OECDの調査によっても、日本の貧困層の約9割が就労しており、同じく貧困問題を抱える他の国と比較しても就労率は高い。それにもかかわらず、日本の労働者はこのような貧困に喘いでいるのである。
その主要な原因が、極めて不十分な労働法制を放置したまま、規制改革のかけ声の元に急速に進行した労働分野における雇用・労働条件の切り下げと格差拡大にあることは明らかである。
加えて、本来セーフティネットとして機能すべき社会保障制度が貧弱なうえ、さらなる社会保障の切り捨て・切り下げ・負担増が重なって、一度貧困の泥沼にはまると、本人の努力では抜け出せない底なしの構造が作られている。

しかしながら、日本社会全体が格差・貧困に喘いでいるわけではない。この10年で、勤労者の平均給与が減少する一方で企業の収益は2倍に伸び、この5年で取締役報酬は2倍、配当は3倍近くにまで増加している。アメリカを中心とする対外債権も巨額にのぼる。ワーキングプア、貧困問題を解決するための社会的原資は存在するのである。

それにもかかわらず、財界は、自らの収益は聖域としつつ、解雇の自由化、派遣労働の無制限な自由化、労働時間規制のさらなる緩和を求め、政府もこれに呼応してワークライフ・バランス実現との装いの下、さらなる雇用の多様化・流動化と正社員・公務員の権利切り下げを図ろうとしている。これらの動きがワーキングプア・貧困をさらに深刻化させることは明らかである

日本に働く人々の生活と権利を守ることを使命とする日本労働弁護団は、ワーキングプア・貧困を一層押し進めるこれらの雇用・労働条件の切り下げと格差拡大に対し、非正規労働者の組織化と労働条件改善、貧困克服、社会保障の充実を求めて取り組むすべての労働者、労働組合、各種団体と連帯して活動するものである。

2007年11月10日

日本労働弁護団 第51回全国総会