(決議)不当労働行為審査制度の改革を求める決議

2003/11/8

不当労働行為審査制度の改革を求める決議

 去る7月31日、厚生労働省の「不当労働行為制度の在り方に関する研究会」は、労働委員会の不当労働行為審査の迅速化、的確化を実現するためとして、労組法の改正を含む、不当労働行為審査制度の抜本的見直しを提言する報告書を取りまとめた。現在この報告書をもとに、労働政策審議会の「労働委員会の審査迅速化等を図るための方策に関する部会」において、検討が進められており、来年の通常国会へ労組法改正案の提出を目指している。
 労働委員会による不当労働行為救済制度について、われわれは、かねてより、審査の著しい遅延、救済の実効性の欠如などの問題を指摘し、運用の改善のみならず、労働組合法の改正を含む制度の抜本的改革が必要であることを主張してきた。不当労働行為審査制度の現状は、不当労働行為の「やり得」や「救済の引きのばし」を容認する状況をもたらしており、いわゆる五審制とあいまって、団結権侵害の迅速かつ実効的救済を図るためには、もはや運用の改善のみで制度本来の救済機能を果たすことができない事態に立ち至っている。
 「在り方研」報告が、「不当労働行為審査制度における現状の最大の問題点は審査の遅延であり、制度改革は必要不可欠である」との認識を示したことは妥当なものであり、司法改革が行われるこの機に、不当労働行為審査制度の改革について、年来の課題がなんとしても実現されなければならない。「在り方研」報告は、われわれが求めてきた制度改革の一部を含んではいるが、なお不十分なものであり、われわれは、迅速かつ実効的な不当労働行為救済制度を実現するため、
① 強制権限を公益委員会の付議事項とするなどの方法により、証人出頭命令、証拠提出命令を機動的に行いうるようにすること。
② 再審査継続中の初審命令の履行強制制度を設けること。
③ 救済命令取消訴訟における新証拠の提出を制限すること。
④ 実質的証拠法則の導入をすること。
⑤ 審級を省略すること。
⑥ 確定命令、緊急命令違反の制裁措置を強化すること。
⑦ 緊急命令の発布要件を「必要性」のみとすること。
等々について、今次法改正に盛り込むよう要求する。
 以上、決議する。

2003年11月8日
日本労働弁護団第47回全国総会