(決議)育児介護休業法改正を求める決議

2003/11/8

育児介護休業法改正を求める決議

 仕事と家庭の両立、とりわけ、育児・介護を行う労働者が差別のない充実した職業生活を営みつつ豊かな家庭生活を享受できるための法的制度の整備は、労働者の働く権利(憲法27条)および男女労働者の平等(同14条)を実現する上で、不可欠の課題であり、また、日本はILO156号家族的責任条約を批准しており、国際的責務でもある。
しかしながら、現行の育児介護休業法は、数度の改正を経ても尚極めて不十分な内容であり、育児・介護を行う労働者の権利を十分に保障するものとはなっていない。
(1)
まず、現行法は有期雇用労働者を育児休業および介護休業の対象から除外している。有期パート・嘱託・契約社員・登録型派遣等の非正規労働者について、有期雇用であることを理由に、育児・介護休業の必要性が高く、また、実際には長期雇用が予定され、あるいは長期に働きつづけているにもかかわらず、育児・介護休業の権利が保障されていない。非正規労働者は1451万人、雇用者の27%を超えており、その大半は有期雇用と推定され、本年の労基法改正による有期契約の上限延長によって、有期雇用労働者増加傾向は強まるものと思われる。参院附帯決議でも指摘されたように、有期雇用労働者除外の見直しが急務である。
 育児・介護休業の制度内容自体も、休業期間が短い、分割取得を保障していないなどの問題点を有しており、より使い易い制度へと改善を要する。
(2)  働きながら育児・介護を行う労働者に対する両立支援については、使用者が、労働時間短縮・フレックスタイム制・時差出勤制・所定外労働の制限等のうちの1つだけ実施すればよいものとされており、しかも、3歳以上については、努力義務にしかすぎない。父親の休業取得が1%にも満たない主要な要因の1つである。働きながら育児・介護を行うことを可能とするためには労働時間の短縮が基本であり、労働者が自らの必要に応じて求める両立策が権利として保障される制度が是非とも必要である。
(3)
 さらに、労働者から強い要求のある看護休暇についても、現行法は使用者の努力義務とするに止まっており、看護休暇制度のある事業所は10.3%に過ぎない。看護休暇制度を権利として保障すべきである。
 現在、厚生労働省労働政策審議会において仕事と家庭の両立支援対策が審議されており、政府は次期通常国会に育児介護休業法改正法案を上程する予定と伝えられている。仕事と家庭を両立した働き方の実現は、人間らしく生き、働くための前提条件であり、また、今後の少子化社会を支える基本である。育児介護休業法について、少なくとも下記の改正を、次期通常国会において行うよう強く求めるものである。

                 記

① 有期雇用労働者も育児休業、介護休業を取得できること
② 休業期間の延長と分割取得等、内容を見直すこと
③ 男性の取得を促進するための所謂「父親割当て休業制度」を導入すること
④ 働きながら育児・介護を行う労働者が労働時間短縮を権利として請求できること
⑤ 育児休業とは別に、子の看護休暇を制度化すること

2003年11月8日
日本労働弁護団第47回全国総会