生産性向上特別措置法に対する意見書-規制のサンドボックス制度に対する意見-

2018/8/30

生産性向上特別措置法に対する意見書
-規制のサンドボックス制度に対する意見-

2018年8月30日
日本労働弁護団
会長 徳住 堅治

1 はじめに
 2018年6月6日、生産性向上特別措置法(以下、「同法」という。)が施行された。同法は、「規制のサンドボックス」を設け、主務大臣から新技術等実証計画の認定を受けた事業者が「新技術等実証」という名目で規制法の適用を受けずに事業が行えるようにするものである。
 同法の目的は、「新技術等実証の促進、革新的データ産業活用の促進その他の革新的事業活動による短期間での生産性の向上に関する施策を集中的かつ一体的に講ずること等により、我が国産業の国際競争力の維持及び強化を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」(第1条)とされており、当弁護団もその目的自体に強く反対するものではない。
 もっとも、同法が、「規制の特例措置」(第9条)によって、既存の規制法令の適用を免除する重大な作用があるにもかかわらず、「規制の特例措置」が適用される法令に何の限定も設けていない点は、労働の安全や公正労働を定める労働関係諸法規すらも適用免除とし得るものであり、極めて問題である。「規制の特例措置」によって労働関係諸法規の適用免除を認めるようなことがあってはならない。
 また、同法については、参議院で、「特にライドシェア事業のような安全や雇用に問題が指摘される事業の実証については、規制法令に違反するものが認定されることのないよう厳に対応すること」とする附帯決議が付されており、かかる附帯決議は厳に尊重される必要がある。

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